タツナミソウの10年後(っぽいもの)








「ふー…」


一段落付いた仕事にツナが息を吐く。


「お疲れ様です。…一息入れましょう。何か飲み物でも持って来ますね。」

伸びをするツナに、同室で仕事を手伝っていた獄寺が立ち上がる。


「うーん…じゃあコーヒー淹れて。」

「…コーヒーは嫌いじゃなかったんですか?」

昔を思い出して笑う獄寺にツナも笑った。

「隼人の淹れるのしか飲まないよ。美味しすぎるんだって。」

「…光栄です。」

獄寺はそう言って頭を下げて、部屋を出ようとする。



それを、



「――…あ。やっぱ待って。」

首をコキコキならしていたツナが呼び止めた。


「なんですか?」

振り返る獄寺に、ツナは問いかける。

「隼人さぁ…今、体疲れてる?」

「…へ?」

突然の質問に獄寺は思案する。


仕事仕事で疲れているのは確かだが、それは精神的なもので、肉体的には疲れてはないような気がする。


「…いえ、疲れてないですよ。」

正直に思ったまま伝えた獄寺に、ツナはにんまり笑った。




「じゃあさ、気持ちイイこと、しよっか。」




ベットを見て、するりと上着を脱ぎながら放たれた言葉に、


「……。」


獄寺は首を傾げた格好のまま固まった。























ギシッ…ギシッ…


ベッドのスプリングが軋む音がする。




「ん……ふ……」




その度にくぐもったツナの声が漏れて、獄寺はなんだか逃げ出したい気分になった。



ギシッ…ギシッ…




獄寺が一定のテンポで体重を掛ける。




――と。



「もーちょい右ぃー」


呑気な声が下からかけられた。



「……。」

獄寺は無言で手を右にずらしてまた背中を押す。


「あーそこそこ。きもちー…」


ぐ、とか、う、とか肺が押し潰されて出る、なんとも間抜けな声を出すツナの背骨がぼきりと音を立てる。


「次その下やってー…腰んとこ。」


俯せて枕に顎を乗せたツナは目を閉じて至福の溜め息を付く。



「…それはいいんですが、10代目…」

その台詞に獄寺は半眼でツナを見る。


「なにー?…う…あー気持ちー…」


いつの間にこの人はこんな老けてしまったんだと内心で額を押さえる。


「……。…ああいう紛らわしい言い方をするのはやめて下さい。」

「なんのことかなー?」

「……最近本当に似て来てますよ10代目…。」
空々しい口調に、今は亡き老人を思い出して獄寺は苦笑した。

「はは、いいことでしょ。う…次下だってー…」



「……どう反応すればいいか迷います。」



下に手をずらして、獄寺は苦虫を噛み潰した顔をする。


「ドキッとできて良いでしょ。まるで初恋気分ー♪隼人はいつまでも初々しいなぁ…」


「……。」

からかいを含んだ言い方に獄寺はむっとする。


そして腰を押していた手を脇腹にずらすと、

下から上につつつっと撫で上げた。


「ひ、うわぁっ!」


ぞわぞわと気持ちの悪い感覚に、力の抜け切っていたツナが身を捩った。


太股に獄寺を乗せているので上半身だけ捻って抗議する。

「脇腹は駄目だって言ってんのにッ――」

その言葉は振り返って見た獄寺の表情に止められた。









「初々しいのはどっちですか。」













してやったりという顔で笑う獄寺だって、十分あの人に似てるじゃんかとツナは思った。













――――――――――
素直にエロ書けよ。



2004年09月09日(木)



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