夕日
あなたと別れる所まであともう少し。
幸せな下校の、最後のこの瞬間だけが、
俺は嫌いだった。
明日まであなたに会えなくなる。
顔も見れず、声も聞けず、触れられない。
存在が確かめられない。
そんなもどかしい長い夜を耐えなければならなくなる。
そう考えて、無意識に伸びた自分の手を視界の端に捉えながら、しかし俺はそれを止められず、
まるで小さな子供が母親にするように、10代目のシャツの裾を握った。
引くとも言えないただ握っているだけ。
服に神経が通ってなければ気付くはずもない微々たる力。
しかしそれにもあなたは何かを感じたのか、俺を見上げて笑った。
「…もう少し、寄り道してこっか。」
込み上げる愛しさに鼻の奥がツンとした。
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バカだなぁ・・・
2004年09月19日(日)
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