バカップルの反対の反対の反対の反対の反対の反対の
「ねーねー獄寺くん。今から反対の意味の言葉しか喋っちゃ駄目ね!先に遣っちゃった方が負けだから!」
獄寺の家で二人でテレビを見ていた時、ツナがふいにそう言った。
まるで子供のようなその提案に、可愛いなーと緩む顔を隠しもせずに、
「はいv」
獄寺は楽しそうに頷いた。
* * * * *
「・・・今日は暑いねー」
「ですね。暑いです。」
季節は秋。今日はまた特に冷え込んでいる。
先程からひゅぉう!と外で風が吹き、ガタガタと雨戸が音を立てていた。
「・・・この番組全っ然面白くない・・・」
「じゃあかえましょうか。」
番組に見入りながら言うツナに、リモコンに触れもせず獄寺が言う。
『―――!――!』
テレビが賑やかな音を立てる。
「・・・・・・なんか・・・考えながらだから喋ることなぃ…じゃなくてありすぎだね。むず・・・ッ簡単だね!」
「・・・ですね。あ、でも俺は割と難しいと思いますよ。」
「・・・それは獄寺くんからネタを振りまくってくれるからでしょ・・・」
「誘ったのは10代目ですよ?」
獄寺は半眼のツナを見て笑った。
「・・・・・・うー・・・思ってた、通り楽しいなぁ・・・・・・どうしよ・・・・・・」
もういいやこっちが負けで。と考え、ツナはあっと声をあげる。
「やめる前にこれは言っとこ♪俺は、無愛想で、全然優しくなくて、弱くて、ちょっと強くて、
気が長くて、格好悪くて、勉強できなくて、頭の良い獄寺くんなんか大嫌い!今すぐどっか行って欲しいよ!」
嬉しそうに悪口他もろもろを垂れるツナに、獄寺の頬が朱に染まる。
「・・・光栄で・・・は、ありません。・・・・・・・・・って、なんか今ちらほら褒め言葉が混じってませんでしたか?」
「・・・はははっ、気のせいじゃないかな?」
「えぇー・・・」
そう呻くと、今度は獄寺が、何か思い付いたようににっこりとツナにほほ笑んだ。
「・・・俺は10代目のことを愛してますよ。」
「・・・へ?」
咄嗟のことに間抜けな声を上げるツナを尻目に、獄寺は続ける。
「10代目の、優しくて、シブくて、格好良くて、強くて、聡明で、何事にも一生懸命で、子供に懐かれて、人を許すことができて、心が広くて…可愛くて可愛くて可愛いところ、全部全部大好きです。」
「そんな真面目に返さなくても・・・・・・。・・・というかむしろそっちが本心!?」
思わぬ所からポロリの獄寺の本心にギョッとなったツナに、
獄寺にんまり笑った。
「・・・の、反対ですv」
「・・・・・・・・・・・・・・・それ反則・・・・・・。」
思わず真っ赤になってしまった顔で、
負けたのは自分の方なんだと悟った。
――――――――――
豚も食わないよ。
2004年11月3日
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