抱きつくとこの匂いが鼻を掠める。




†† SMELLS LIKE MOTHER ††




「お猿の兄ちゃぁ〜んvvv」

「どぅわ!!――っっこんのスバガキぃ!!いきなり跳び付くなって何回言ったら分かりやがるんだ〜っっ!!」
「ん〜vいつもと変わらず新鮮な反応だね兄ちゃんは☆」
「・・・・・・聞けよ。頼むから。人の話。」

眉間を押さえて言う猿野。
その抗議は全く無視して兎丸は猿野の腰に手を回し頬を擦り寄せる。

「あ゛――重てぇ!!お前も見た目じゃそう見えなくても一応高校生なんだからもっと高校生らしくしろよ!!」
「え〜?高校生らしくって例えばなんなのさ?」

思いっきり擦り寄せていた顔を離し猿野を見上げる兎丸。もともと大分あった身長差が今は更に広がっている。

「例えば!!人にむやみに跳び付かないとか!いちいち抱き付いては顔をグリグリ押し付けないとか!!」
「別にいーじゃん!跳び付く跳び付かないはぼくの自由でしょ!!
 それともなに?休み時間にギャーギャー騒いでるのは高校生らしくて、人に跳び付くのは高校生らしくないワケ?」
無理矢理引き剥がそうとする猿野に更に腕に力をこめて抱きつく兎丸が言う。

「ぅぐっ……!!というか人に跳び付くのはジューブン高校生らしくないぞ!!」
「ホラ、また騒いでる。兄ちゃんこそ子供じゃん!」
ハタ、と気付いて慌てて口を押さえる猿野。ニマーと悪ガキそのももの顔で笑われる。

「兄ちゃんってホントからかいがいあるよね〜。何回でも、いつでも、見てて飽きないよ☆」
そう言ってまた背中に擦り寄る始末。十分その飽きない反応で楽しんだだろうが、と思う。
「んなこと言われても全然嬉しくねぇし・・・。」
猿野の表情からは不快の色がはっきり見て取れる。

そんな猿野の態度に少し気を悪くしたのか、兎丸は猿野の背中を背骨に沿ってなぞる。

「だ――っっ!!もう離れろってば!!しつこいッ!!」
そのこそばさとはまた別の感覚に猿野は身を捩る。

いー加減本気で怒るぞ!!

猿野の本気の目に終に兎丸も降参したようで、名残惜しそうに離れて頬を膨らませながら言う。
「だぁってー、兄ちゃん抱き心地いいんだもん。・・・なんか良い匂いもするし。」
「だから嬉しくねぇって!男に言われても。大体良い匂いって何だよ?オレ別に香水とかつけてねぇけど・・・」
自分の匂いを嗅いでみて猿野は言う。特に何の匂いもしないが・・・?

そんな猿野の様子に兎丸はチッチッチと指を振って言う。
「違うよー。香水とかそんなんじゃなくて、もっとこう落ち着く匂いなんだけど・・・
 う〜〜〜ん、何の匂いに似てるかなぁ・・・・・・?」

考え込む兎丸をなんだろうとぼうっと見ながら待つ猿野。


「――お母さん!!」
「は?」
ポンッと手を打って言われた言葉の意味が即座には理解できず間抜けた声を上げる猿野。

「兄ちゃんの匂いってお母さんみたいで落ち着くんだよ!!」
「・・・・・・・・・」
妙な間が空く。とりあえず兎丸の言った言葉のみは分かった猿野は言う。

「それは褒めてんのか?貶してんのか?」
「褒めてんの!!」
即答されて更に困る。どう返して良いものか考えを巡らせている猿野を見て、兎丸は何か悪戯を思いついた子供そのままの表情を浮かべて猿野に言う。

「ねぇ兄ちゃん。ぼくお母さんの匂い大好きなんだ!毎日でも何時間でも匂っていたいの!!ダメかな?」
へ?と猿野は言って、
「いいんじゃねぇの?何でそれをオレに聞くんだよ?お前んちの母親のことじゃん。」
と不思議そうに言う。兎丸の表情は狙った獲物が罠にかかったハンターのそれで、嬉しそうに言う。

「本当に!?兄ちゃんもそう思うんだ!!」
その兎丸の様子に嫌な予感がしながらも猿野はあぁ・・・と曖昧な相槌を打つ。

「やった――!!毎日抱きついても良いって兄ちゃん本人からキョカもらっちゃったー!☆★」
「コラ待て!どうしてそうなるんだ!お母さんの匂いとやらはどうなったんだ!!」
ピョンッとまるで本当の兎の様に跳び付いてきた兎丸を、引き剥がそうとするのも忘れて猿野は叫ぶ。

「お母さんに抱き付くなんて言ってないよーっだ!お母さんの匂いが匂いたいって言っただけだよ!
 つまりお母さんの匂いのする兄ちゃんに抱き付いても良いってことになりマース☆」
「ならない!!」
すばやく答えて本日二度目の引き剥がしにかかると今度はあっさり身を引く兎丸。
拍子抜けしたように、一瞬呆ける猿野を見て兎丸は指を指して笑う。

「あははははは!!今の兄ちゃん変な顔〜〜〜!!あははははっ!」
「っっ笑いすぎ!!」

赤い顔で叫ぶ猿野に兎丸は再度跳び付いて、

「兄ちゃんやっぱり面白い!ホントだ――い好き!!!」

爆弾発言をかますのだった。













――――――――あとがき。

もう兎猿は書かない!!(いや、書くけどね/笑)
ダメだ〜ヘボすぎる〜!!(自害せよ)

もう捻りもなんもなし。テスト週間中にノートにちゃちゃっと気分転換に書いたやつだし。(どんな気分転換だ)
なんか他に置いとく物も無いので(寂しいNa)、修正もせずにUPしてみました☆(すんなよ)

まぁでも、ぴのちゅは動かしやすいんで好きっすねー。
文才さえあればもっと上手く書けるのにね〜辛いね。(うう)

あ、題名さわると訳が出ます☆








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