「キャプテンは絶対金だろ!!」

屈託無くそう言う君の声を聞いてどこか偽者の様に感じるのはきっと僕だけなんだろう。

†† Yellow Oil Color ††


ガチャリと扉の開く音がして、振り向いたそこには監督との話しを終えた牛尾が居た。
「やけに賑やかだね。今日はなんの話しをしてるのかな?」
微笑ましそうにそう言って笑って、部室に入ってくる牛尾。

それに即座に反応した兎丸が大体の話の流れを説明する。
「えっとーなんでか皆のテーマカラー決める事になって、その話しをしてたの。
皆の色はもう決まってて、キャプテンの色は今、金に決まりかけてた所だよー」
大まかな説明をして兎丸は猿野を見て、そうだよねっ兄ちゃん!と言う。
あぁ。と頷いて猿野が兎丸に続いて笑って言う。
「キャプテンならぜってぇ金だよな、って言ってたところっス。見た目もオーラもそのまんま金だから相談するまでも無かったんスけどね。」

説明を聞き終えた牛尾は一つの疑問を口にする。
「有り難う兎丸君。えっとじゃあ猿野君は何色になったんだい?」

――あ。と今はっとした様に子津が言う。
「そう言えば猿野くんの色をまだ決めてなかったっす。」
「そういえば。N〜モンキーベイベーNaー・・・」
腕を組み、唸る虎鉄。

「馬鹿猿にはウ〇コ色だろ、とりあえず。プ・・・」
口元に手を持っていき犬飼は何時ものように浅く笑う。猿野もビッと中指を立てて何時もの台詞を叫ぶ。
「てめぇぶっころっ!!」
んだと馬鹿猿――

「黄色。」

『へ?』
犬飼が反射的に言いかけた時に牛尾が暫し閉じていた口を開く。
取っ組み合いになりかけていた犬飼と猿野はそのままの体勢で一瞬呆けたかのように固まる。

そんな様子に牛尾は苦笑したかのように笑って言う。
「あぁ、ごめんね。猿野君なら黄色が似合うなと思ったんだよ。お気に召さないかな?」

お気に召さないかななんて、そんな女子が見れば卒倒しそうな困った笑みで言われれば女子とは云わずとも、うっとくるものがあって。
犬飼はどうしていいか分からないといった風にオロオロする。
そんな犬飼に目線だけやって猿野はいつもでは考えられないような顔で小さく、誰にも聞こえない様に「へぇ・・・」と洩らす。

その妖艶な程の嘲笑。

「どーしてそう思うんっスか?」
しかし猿野がそれを浮かべたのはほんの刹那で、後にはまたいつも通りの輝く笑顔。

猿野の見せたらしくない動作を全て見ていた牛尾だが至って平然と肩を竦めて
「特にこれといった理由はないよ。強いて言えば明るくて元気だからかな?」
と言う。

猿野がそれに何か答えようとしたときに丁度犬飼の言葉が被る。
「黄色っつっても、どす黒いどぶみたいな色だぞ、絶対。」
「―――いっぺんシメるっっ!!」
プチンと何かが切れるような音がして猿野が犬飼にまた掴みかかる。

ポンッ

へ?と肩に手を置かれた猿野が後を振り返るとしっかり帰る用意のできた兎丸と司馬がいる。
「兄ちゃん、じゃあぼく達はそろそろ帰るから早く着替えなよ〜?それじゃまた明日ね、バイバ〜イ!」
「・・・・・・。」
司馬もペコリと頭を下げて部室を出ていく。
げっと猿野が周りを見渡すとあちらこちらでじゃあなとかお疲れ様でしたーとか言ってるのが聞こえる。

「やべっ!」
一人全くと言っていい程着替えてなかった猿野は慌てて着替え出す。
見ればさっきまで一緒に散々騒いでた犬飼も着替え終わってる始末。

「ギャンギャン騒いでっからだ馬鹿猿・・・」
飽きれたように犬飼はそう言って自分のスポーツバッグを持ち上げる。

「それではキャプテン、猿野君、私達はこれで失礼しますよ。行きましょうか犬飼君。」
犬飼の隣に並んだ辰羅川もそう言って出ていく。それに続いて犬飼も
「朝までそのまんまでいとけ馬鹿裸猿は。」
と捨て台詞のようなものを残して去っていく。

ついに、今部室にいるのは猿野と鍵閉めを任されている牛尾のみとなった。

「あんのクソ犬め・・・っ!ってかすいません、キャプテン!鍵ならオレが閉めますから・・・!」
わたわたと鞄に荷物を詰め込みながら言う猿野。この調子ならまだもうすぐ支度も終りそうだ。

「そんなことは気にしなくていいよ猿野君。僕は自分の責任は自分で果たす主義だからね。
だから申し訳ないと思うんなら急いで用意を終らせてもらった方が僕は嬉しいよ。」
にっこり笑って言う牛尾を見てハイ。と猿野は呟く。



「ふぅ〜。」
「終ったみたいだね。」
3分ほどで用意を終えた猿野が安堵の息を吐く。

「はい。ホントすいませんでした。えーじゃあ、お疲れ様でした〜」
「うん。お疲れ様。また明日ね。」

頭を下げて部室を出て行こうとする猿野に牛尾が声をかけて自分も帰るために荷物を持ち上げる。


「あ。」


ドアノブに手を掛けていた猿野が急に声を出す。

「どうしたんだい?猿野君。」
そのまま振り返った猿野に牛尾が疑問を投げ掛ける。

「さっき言いかけたことがあるんっスけど、」
猿野の言葉に『あぁ、さっきの犬飼君が被せてた言葉か。』と思い当たる。



「油と水どっちのつもりでしたか?」



重要な所は全て隠された猿野の言葉。しかし即座に理解する。
元よりそのつもりで言っていたのだ。
これで分からなければ彼はあっさり引くだろう。自分の事を切り捨てて。

「油絵の具だよ。」

猿野がそのことを知っているのが牛尾には以外だったのだけれども、猿野はその答えにふぅん、と返して、
ドサリと持っていたスポーツバッグを落とす。
そしてまるで役者の様に大袈裟に肩を竦めて、言う。そこにはいつものような雰囲気は無く、あるのは先ほど猿野が垣間見せた嘲笑のみ。

「・・・・・・まさかバレてるとは思いませんでした。」

牛尾もそんな猿野に別段、驚いた様子も無く答える。

「皆にはバレなかったとしても、僕にバレないわけじゃないよ。ちゃんと見てればすぐ分かる。」
「・・・結構、3年間ぐらい騙しきる自信はあったんですけどねぇ・・・」

残念そうな身振りはするが表情は変わらず挑発的なまま。猿野は言葉を続ける。

「で。」

「で?」

「どうするんですか?これをネタに俺をゆすりますか?それとも皆にバラしますか?」
別にどうしようが構わないという意味合いを含んだ言葉。
牛尾はニコリと笑って言う。

「何もするわけないじゃないか。それをしたって僕には何の利益もないしね。
 あ、でも・・・」

一旦言葉を切って猿野の興味を誘ってから



「僕の欲しいモノ。わかるよね?」



不意を突いて猿野の耳元で呟く。
猿野はフンと鼻を鳴らして優雅に牛尾から離れ、片眉を上げて笑みを浮かべ、言う。

「黄色の油絵の具、飲んだらどうなるか知ってんのか?」

「あぁ、知ってるよ。
Cdだろう?僕は自信があるし例えそうなったとしても構わないよ。」

窓から入る淡い黄金の光を正面から受け牛尾は笑う。
もう時刻は7時を過ぎた。

「それなら・・・」

その夕日の光を背に浴びて猿野はいっそ神々しいと呼んで良い程の笑顔で笑って言う。

それが本来の君の笑顔なんだ

牛尾は目を細める。逆光の所為か猿野の笑顔の所為かは定かではないが。

そして脅迫紛いに奪った物と呼ぶには余りに大き過ぎるモノを貰う。

彼はその言葉の意味を分かってるんだろうか。




Do as you please!!




黄金の世界に一輪の花が咲いた。














Cd=cadmiumの元素記号。
   金属元素の一つ。有毒。
   黄色の油彩絵の具に多く含まれる。

















―――――――――あとがき。

妙に捻くれな猿ちゃんになってしまいました。(汗)

ちなみにCd飲むと死んじゃいます。飲んじゃだめですよ〜(誰も飲まねぇよ)

牛尾キャプの「僕は自信があるし例えそうなったとしても構わないよ。」と言うのは

飲んでも死なない自信があるし、例えそのせいで死んでも構わないという意味になります。

アー分かりにくっ!(泣)

文才ないんです。(そうですね。)

こんな恥ずかしい物になりましたが鍵野様に差し上げます!!

返却不可です!(最低) 嘘です、OKですよ〜(小心者)

いらなかったらぽいぽいのぽぽ〜いして下さい。(何)

あぁ鍵野さん…見捨てないで!!(号泣)

あ、気になる所にカーソル合わせてみるとなんか出るかもです・・・vv(ぇ)







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