あなたさえ生きていてくれるのならば、

俺はどうなったっていい。

あなたさえ笑っていてくれるのならば、

俺は立浪に攫われてしまってもいいんだ。



――俺は・・・あなたに・・・























†† タツナミソウ ††






「あ・・・教室に忘れ物してきちゃった・・・。」

下校している途中、校門まで来てふと財布の入った小袋を机の横にかけたままだったことを思い出したツナは、
一緒に帰る獄寺に言いにくそうに、そう呟いた。

「取ってく――」
「あっ!俺取って来ますよ!10代目はここで待っててください!」
笑顔でそう言いながらすぐに走り出す獄寺をツナは焦って追いかけようとする。

「いいよそんな!俺行って来るから・・・」
「いえ!行かせてください!ソッコー戻って来ますから☆」
バチンと音がしそうなほど強烈なウインクをされて、なんだか妙に気力のうせたツナは、
「・・・ごめん。ありがとう。」
と、困った顔のまま口だけで笑って言った。

「はいっ!では行ってきます!!」
元気にそう言って凄いスピードで走りさる後姿を、ツナはただ呆然と、そんなに尽くしてくれなくても・・・と眺めた。


20秒後。
「10代目〜〜っっ♪♪」
教室の窓からブンブン手を振りながら獄寺が顔を出す。
「はやっ!」
ツナが驚いて振り仰ぐ。確か教室まではそんな近い距離ではなかったはずだ。
靴を履き替えたりしたらもっと時間かかるし・・・ってそれは獄寺くんには関係ないか。どうせ土足だろうし。
土足のままだったとしても十二分に早いのだが。

「これで良いですか〜〜??!」
机の横にかけてあった、手提げより二回りほど小さな袋を持ち上げて獄寺が言った。
「あ、うん、それだよ〜!ありがとー!」
ツナも負けじと叫び返して、ふぅと息を整える。彼には獄寺ほどの声量はないのだ。

15秒ほど待つと、遠くの下駄箱の辺りからドタバタとせわしない音が聞こえてきた。

リボーンは突然の電話で、ツナに聞かれたくない話題だったのか分からないが、一瞥もくれないでどこかに行ってしまった。
たった一人で待つのは30秒でも長い。
もう少し獄寺が来るのが遅かったらツナは少しでも退屈していたかもしれない。
それを至極嫌う獄寺にとっては、この頑張りも意味のあるものと言える。

いそいそと下駄箱を通り抜けた獄寺は、校舎を出て、遠くからでも笑顔で出迎えてくれるであろう主人を視界に入れた。

その時。


――ッッ!!!?

獄寺の目が大きく見開かれた。

「10代目っ!!」

叫びながらその光景を見て、獄寺が吼える。

「貴様ら10代目に何しやがったァッ!!」

そのまま物凄いスピードで突っ込んでいく。ダイナマイトにはもう8本全てに火をつけていた。

彼の見たものは、黒のスーツを着た数人の男達に捕らえられ、何かを嗅がされたのか、
カクンと地に崩れ落ちていく、まさにその瞬間の己の主人だった。

「チッ!」

男の一人が大きく舌打ちすると、真っ黒の車にツナを投げ込んだ。
「ずらかれっ!!」
運転席の男の一吠えに大急ぎで全員が車に乗り込む。
男達の目には烈火の如く怒り狂い突っ込んで来る獄寺が映っていた。

車に乗り込む男達を見受け、獄寺はあらん限りの力で車に向かってダイナマイトを投げつけた。

「果てろォォッッ!!」

――ッドガアンッッ!!!
一瞬後、地も揺れるような振動が辺りを襲う。余波に空気がビリビリと振動した。

土煙も晴れぬまま、立ち尽くした獄寺が搾り出すような声を上げる。

「――どうして・・・。」

そして一点を強く睨んで吼えた。

「どうして邪魔したんですかリボーンさんっ!!!」

彼の睨む先には、放たれたダイナマイト全てを空中で打ち落とし、
その構えのまま銃から煙を上げ続けるリボーンがいた。


リボーンは、はぁ・・・と溜息をつく。
「・・・バカかお前。あのままあの量の爆撃を受けたらヤツらはともかくツナはどうなる?」

獄寺がハッと息を呑む。
「――ッ・・・でも、10代目が!!」

「あいつには元々発信機がつけてあるんだ。それに念のためあの車にも付けておいた。
オレが黙って連れ去られるのを見てると思うか?
ヤツらは恐らく何かの組織の末端だろう。あいつらを倒したところでまた別のヤツが襲ってくるだけだ。
それならヤツらのアジトを突き止めてそこを叩く方が効率がいい。」

すらすらと当然のことのように話すリボーンを呆然と見て、獄寺は言い募る。

「確かにその方がいいのかも知れないですけど・・・でも、10代目にもしものことがあったら・・・っっ!」

そんな獄寺に、さも当然のことのようにリボーンは言った。


「未来のボンゴレのボスがそんなヤワなわけねーだろ。」


――なっ、なるほどっ!

獄寺はポロリと煙草を落とした。














――――――――――
中書き。

あー・・・リボーン熱に浮かされて連載書いちゃった☆てへvv(キモ)
ちなみに私山本あんま好きくないので、これには出さない予定です。
あくまで獄⇒ツナ基本。捕らわれのツナが出て来るか心配ですが。(汗)

この話。オチどーしよー・・・とか悩んでたところ、
丁度某リボーン素敵サイト様がドツボぴったしの絵を描かれていたので、
それに合わせてみようかと思います。(勿論許可は取りましたよ☆)

某さん本当にありがとうございます(>_<)

太字にカーソル合わせると意味出ます。


――――――――――
最初にある挿絵は
小椋さんが我が家の掲示板に描いて下さったものです(*´∪`*)
獄寺も立浪草もホント美しすぎます。ああ見つめすぎて目が落ちそう!(どんな例えだ)

いつまでもオン・オフともに小椋さんのファンでいさせてください(土下座)
大好きです!!!!(ぜーぜー)

本当にありがとうございました!!!


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