†† ギョクセンカ3 ††
キーンコーンカーンコーン・・・
――終わった・・・。
長かった6時間が終わった。
1時間目が終わっても、昼休みになってもそのまま帰ってこなかった彼は、きっとどこかでサボっているんだろう。
帰ったのかな?と思ったが、鞄がそのまま置いてあるから違うかと思い直す。
でも彼なら学校の鞄がなくても何も困らないかとも思う。予習復習も必要ないし。
そういえば確か前に学校帰りにそのまま晩御飯の材料を買うとか言ってたかもしれない。
じゃあお財布は鞄の中か・・・。
――やっぱり帰ってはないかな。
結局そう結論付ける。
じゃあ獄寺くんが鞄を取りに来るまで待とう。
朝の彼の行動はさっぱり理解できないけど、とりあえず嫌われてはないかなと6時間の間に考えた。
やっぱり謝ろう。と思った。彼に嫌われたと誤解して、逃げ帰ったこと。
教室に一人残り、彼の席に座ってぼーっと待つ。
まだ15分くらいしか経ってないけど、一人で待つのはとても長く感じる。
――獄寺くんからはいつもこんな風に見えてるんだなぁ・・・。
することもないので黒板を眺める。
――俺の席はあそこ。
自分の席を眺めるツナは、毎日この席から悲痛な視線が送られていることを知らない。
暇過ぎて机に落書きが何もされてないことを確認しているうちに、うつらうつらしてくる。
寝てはダメだと何度か首を横に振るが、昨日一晩起きていた体は睡魔に敵うわけもなく、
ツナはそのまま俯いて寝てしまった。
「――・・・10代目・・・?」
そこに丁度彼はやって来る。
「・・・なんでまだ残って――」 俯いたツナに、恐る恐る歩み寄りながらそう言いかけた獄寺は、 あと一歩で手が届くという距離になってようやく主人が寝ていることに気付く。 |
音を立てないように一つ前の席に座って、顔を覗き込む。
「・・・俺に・・・何か言おうとしてくれたんですか?」
自分の席に座って待っていたように見える主人への問いに答えは返らない。
「・・・すいません・・・10代目・・・」
いつかと同じセリフを獄寺は呟く。
「・・・・・・あと・・・・・・少し、ですから・・・。」
眉根を寄せて言われた一言に、先程眠りに入ったばかりのツナが小さな反応をする。
「・・・・・・ぅ・・・」
辛そうな表情に変わった主人を心配そうに見た彼が、悪い夢を見ているなら。と主人を起こそうとした時、
「・・・・・・ごめ・・・ん・・・・・・ごく・・・で・・・ら・・・く・・・」
「――ッッ!」
――抱きしめたい。
そう、強く思った。
あまりに強いその衝動に、彼は右のこぶしを強く握ることによって耐えた。
食い込んだ爪の先から血が伝う。
――貴方が・・・
「・・・・・・貴方が謝ることなんて何もないのに・・・。」
獄寺は血のついていない左手をツナへと伸ばす。
頬の輪郭を触れそうで触れない、もどかしい距離で辿って、
――このまま口付けてしまおうか。
そう考えてしまい、その思考にさえ体が熱くなる。
――駄目だ・・・このままじゃ・・・・・・。
一度ぎゅっと目を瞑り、開くと、彼は決心した。
ツナを優しく揺り起こし、寝ぼけてぼんやりとした後獄寺が目の前にいることに驚くツナに、軽く微笑んで、ついに告げる。
「――・・・・・・しばらく、距離を置きましょう。」
「――・・・ッ!」
寝起きでもその言葉の意味を理解したツナは、
バチンッ
両目からぽろぽろと涙を流して思いっきり獄寺の頬を叩いた。
「――獄寺くんのバカッ!!!」
そのまま教室を出て行くツナを呆然と見送って、獄寺はゴンッと音を立てて机に額を打ち付ける。
ごろんと頭を転がして、ツナの出ていったドアを見つめる。
「・・・・・・・・・限界だ・・・・・・」
だらりとぶら下げた両手の、片方からぽたりと血が垂れ落ちた。
――――――――――
中書き。
あークライマックス近いですねー。
このシーンの為に頑張って今まで書きました。
我慢の男、バカな男、獄寺隼人。
ツナが乙女だ・・・キモい・・・(汗)
ってかこんな中書き読んだらなんだか気持ちが萎えるね。すまんね。(苦笑)
挿絵はAAの相生葵さんがうちの絵板に描いてくださったのを許可をお取りして貼ったものです。
は・・・え・・・葵さん・・・!?ぎゃふん!天下の葵さんがこんな所になんばしよっとですかー!!?(言語おかしい)
ホンマこんな話ですいません絵だけ浮いてますキレイすぎて!(ハァハァ)
もう寝てるツナとか獄寺とか獄寺とか獄寺とか・・・!素敵!!
本当にありがとうございました!!
上の文字から飛べますので、ぜひ行って相生さんの絵を見に行ってくださいね☆
太字にカーソル合わせると意味出ます。
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