†† ギョクセンカ4 ††
「――いいのか?」
「ッうわっ!!」
突如頭の上から降ってきた声に跳びあがる。
「・・・リボーンさん・・・。」
姿勢を正した獄寺の前で、ツナの席にちょこんと座っていたのは他ならぬリボーンだった。
「・・・何がいいんですか。」
いつもよりかなり無愛想に言う獄寺にリボーンはさも当然のように言い放つ。
「いいのか?追わなくて。」
その一言に、今まで我慢に我慢を重ねてきた獄寺はついに切れた。
ガタンッ!
盛大な音を立てて立ち上がるとリボーンへと詰め寄る。
「誰のせいでこんなことになったと思ってんだよ!!てめぇがッ――」
「・・・俺が?」
獄寺はうっと詰まる。平然と銃を磨くその目に、無言の重圧がかけられていたからだ。
「――・・・あ、貴方が・・・、今のまま10代目のお傍にいたら10代目はボスとして育たないって、人脈が築けないからって、
勉強を教えるのも、一緒に便所行ったりとか飯食うのも止めさせて・・・そのまま1週間は最低耐えろって・・・そう言うから・・・・・・。」
言ってる内に獄寺は最後に見たツナの顔を思い出す。
ぽろぽろと大粒の涙を流して歯を食いしばった主人の顔は、何があっても、どんなことが起こってもさせないようにとしていた顔だった。
思わず泣きそうになっていた獄寺に、
「――はぁ・・・」
リボーンがひどく嫌味に聞こえる溜息をついた。
訳の分からない彼の行動に獄寺は何か言い返そうとする。
それを、彼は遮った。
「お前・・・正真正銘の馬鹿だな。」
「――なッ!」
なんでそこまで言われなきゃなんないんだ!
そう言おうとして、獄寺はまたリボーンに遮られた。
「俺がツナを殺せといったら殺すのか?泣かせろといったら泣かすのか?」
目を見開いて二の句の告げない獄寺に、リボーンは最後の一言を言う。
「優先順位を考えろ。まず第一に優先すべきは――」
「10代目ッッ!!!」
リボーンの言葉を最後まで聞かず、彼は愛しい人の名前を叫ぶと走り出した。
「・・・・・・手のかかる・・・。」
その溜息は浮かんだ笑顔によって打ち消された。
――10代目、10代目・・・10代目ッ!!
10代目がボスになって欲しいと願った。
それに自分が妨げになると言われ、それならば離れよう、そう思った。
傷付いた顔を見てこれでいいのかと思った時も、10代目の為だと耐えた。
昼休み何かあってはと屋上で物陰から見守っていた時、バカだと言われて胸が締め付けられたようだった。
夕日が差し込む教室で、もうこれ以上耐えられないと思った。
距離を置けば・・・あの人を見ないようにすればいいんだと思い、言った。
せめて一週間。
・・・愚かだった。
何よりも大切にすべきは未来の虚像ではなく、今そこにいるあの人だった。
悲しませてはいけない、泣かせるなんて以ての外の大切な人だった。
廊下を走りながら獄寺はきょろきょろと辺りを見渡す。
もう帰ったかと靴箱を見に行ったら、靴が残っていた。
――まだ校舎内に・・・。
どうして帰ってないんだろう。そう思いながらも獄寺は走る。
一階、二階・・・ざっと見ていくがそうそう見つかるわけもなく時間は刻一刻と過ぎていく。
自分の無力さにイライラと歯噛みした時、
――バンッ!
獄寺は両手を思いっきり窓に叩きつけた。
「10代目っ!」 自分が随分前飛び出していった教室に入っていく主人を見た獄寺は、 向かいの校舎に向かって叫ぶ。 その声は誰もいなくなった廊下の空気を揺らした。 しかし、そのまま主人は教室に消えていく。 歯痒い距離に獄寺は大きく舌打ちをした。 |
「あぁもう・・・くそっ!」
一度足を絡めてつまづきながら、獄寺は走り出す。
――――――――――
中書き。
次ツナ視点に飛ばしたいのでここで切ります。(やっぱりツナ視点持ってってもなんのメリットもないのでやめます。)
最後までいくとか言いながらすいません(汗)
しかも途中で弱音吐いたり・・・
結構難産した作品ですねー・・・
まぁ結局よくある学園恋愛物みたいになってますな。(苦笑)
挿絵はAAの相生葵さんがうちの絵板に描いてくださったのを許可をお取りして貼ったものです。
わ!また!いただいてしまったYo!!!葵さんいいんですかいいんですかももももったいないこんな弱小サイトに・・・!
この辺の表現結構悩んだんですが、葵さんが見事に描き表してくださったのがとても嬉しかった記憶があります。
相変わらず、夕日の感じとか、向かいの校舎に見えるツナの感じとか、凄くお上手ですよね・・・vv
こんな素晴らしい絵を描いていただいた私は幸せ者です!!
しかも挿絵にまでさせていただいて・・・本当にありがとうございます!
上の文字から飛べますので、まだ行ったことのない人はぜひ行くように!(強要!/笑)
太字にカーソル合わせると意味出ます。
BACK NEXT